プログラマーがASKAの700番第二巻・三巻を読んだ感想

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僕は10歳の頃からCHAGE&ASKAが大好きだ。 ASKAの逮捕・再逮捕の騒動を受けてとてもショックを受けた。 以下、一応本のネタバレもあるのでご注意を。

これまでの経緯

2013年ASKAが一過性脳虚血でコンサートが中止になったと思ったら今度は覚醒剤の中毒者というではないか。 にわかに信じがたかった。 僕は最初メディアにハメられただけだと思っていたが、本当のことだった。 まさか、昔から見てきた憧れの人がこんなことになるなんて、ショックだった。

そして、2016年12月ASKA再逮捕。 逮捕当時ASKAはニューアルバムの製作途中。 せめて逮捕される前に歌だけでも聞きたかったというのが本音だった。

それにしてもメディアの態度には腹が立った。 首を傾げて眉をしかめて頭のおかしな人だと決めつけるような演出がイライラした。 その後、二度目の逮捕は不起訴になった。

メディア

井上公造氏はミヤネ屋で許可なく新曲のデモ音源を流した。 デモ音源を勝手に流して、歪な曲だと言いたいかのような演出でした。 「これ2020年の?オリンピックのテーマ曲?」 この曲がオリンピックのテーマ曲になることを妄想していると言いたかったのだろう。

700番の中では以下ように述べていた。

事件を起こした身では、採用はないだろう。しかし、挑戦というキーワードだけは共有のものだ。

大人数で自宅へお仕掛けてベンツのエンブレムをぶっ壊し、タクシー内映像を盗撮・公開し、著作権を無視して楽曲を流す。 あのとき、血走った目をして常軌を逸した行動をとっていたのはメディアだ。

ASKAはメディア慣れしていないのだろう。 事実と違う報道をされると黙ってはいられないようで、報道中にもブログで応戦して話題となった。

新曲

昨年末から新曲「FUKUOKA」と「X1」の2曲をYouTubeでリリースした。 どちらも素晴らしい曲で、特に「FUKUOKA」が気に入っている。 故郷をテーマにした歌でこんなにカッコいい曲を聞いたことがない。 「ふくおか」というフレーズにダサくならないようにメロディを付けるだけでも難しい。

そして、「FUKUOKA」初披露の福岡の番組の出演を見た。 これをきっかけに復帰するというものではないということを強調していた。

しかし、パフォーマンスに関しては、間奏に入る前くらいから少し違和感を感じた。 若干白目をむいているし、声も一瞬ひっくり返るし。 年齢も重ねているし、後遺症という可能性もあります。 事件後の久しぶりの出演での緊張かもしれない。

700番

刑務所留置所内では名前ではなく番号で呼ばれるらしい。 700番というのはASKAに当てられた番号だ。(刑務所ではなく留置所でした、ご指摘いただきありがとうございます。)

表現力はさすがで、比喩が豊かに使われていた。 僕はASKAが嘘をつこうとしているとは思えない。 あんなに事細かに書いてあることが嘘をつこうと思って書いた作り話だとは思えない。 もしもこれが全部作り話なら、今後は誰も信じなくなる。リスクが大き過ぎる。

しかし、早とちりや勘違いをする人なんだなという印象も受けた。 本人もよく分かっていないことでも断定的に語ってしまっている。 ASKAは直感的にものごとを考える人なんだと思う。 論理ではなく直感で話すから周りからすれば「?」となるのだろう。

ギフハブ?

取材であり公開されることが分かっていれば、プログラマの間で悪用禁止とされている「ギブハブ」のことなど口にしていない。幸いにも私はそれを言い間違えた。「ギブハブ」ではなく「Gi○○ub」だ。

電話インタビューではギフハブと言っていたような・・・。 これはGitHubで間違いない。 著書で引用されているブログ記事も発見した。

GitHub で特定ユーザの行動を逐一追いかけたい アイドルファンがアイドルの言動を逐一追いかけるように、我々凡人 GitHubber が著名な GitHubber や可愛い GitHubber 、その他知り合いの GitHubber などの言動を逐一追いかけたいのは自然なことである。

著書にはこの部分が引用されていた。 非エンジニアの方が見ると不気味に見えるのかもしれない。 しかし、GitHubはエンジニアなら誰でも知っているオープンソースのホスティングサイトだ。

オープンソースとは簡単に言うと、 「プログラムの中身を誰でも見られるように公開して、知識を独り占めせずに皆で発展していきましょう。」 という取り組みだ。

まるで、GitHubが裏組織の盗撮アプリのような書かれ方をしている。 断言する、ただの勘違いだ。 GitHubはオープンソースのプログラムを共有するためのWEBサイトだ。

SNS的な側面があるので、僕たちエンジニアは凄腕のエンジニアの動向を追いかけたりする。 皆さんが芸能人をツイッターでフォローするのと同じ感覚だ。

RAT?

RATというツールを使えば姿を隠して簡単に侵入できるんですよ。 電源を切っていようとも、ケーブルが接続されていれば盗聴盗撮はできます。

ASKAは穴本というエンジニアにこのような話を聞いたという。

地下組織では、もっと前からやってたようですけど。僕も、最初その情報が入ってきたときにはビックリしたんです。

地下組織!? RATというのは遠隔操作ツールの総称だ。 実際にRATによってPCを遠隔操作される事例はある。 しかし、具体的なツールの名前がないとASKAが直面した状況に照らし合わすことができないので、説得力に欠ける。

盗撮のためのARアプリ?

ASKAはメディアで盗撮のためのARアプリが埋め込まれていると語った。 ARは仮想世界のものを現実世界に投影する技術のことだ。 分かりやすい例で言えば、皆さんご存知のポケモンGOがAR技術を用いたアプリだ。 ポケモンという仮想世界の生き物がスマホを通して現実世界に投影される。 映画なんかでホログラムで姿を投影して通信したりするのもARと言える。

でも、ARで盗撮をするとはどういうことだろうか? ASKAが誰かの家の中でホログラムとして出現しているのか? そんな馬鹿な・・・。 どのようなアプリなのか実態が想像できない。 ARというものを理解していなかったのかもれない・・・。

ASKAが見つけたのはiDict?

憶測に過ぎないが、ASKAが見つけたのはiDictというツールではないかと思っている。 700番の中で書かれていた有名芸能人達の写真流出事件というのはAppleアカウントを攻撃されて起こったようだ。 事件についてはこちらの記事に書かれていた。 本の通り、長澤まさみや北川景子などが被害にあったと書かれている。

通常は何度もログインを試みたらしばらく入力できなくなる。 しかし、iDictというツールを使えば辞書攻撃を500回試みることができるようだ。

パスワードを突破する方法はいくつかあって、辞書攻撃はその一つだ。 既存の単語などを組み合わせて、パスワードを推測する方法だ。

例えば「love-song」というようなパスワードは辞書攻撃で簡単に突破される。 「bb9bdqc,C6#AE」という感じのランダムな文字列の方が安全だ。 でも、こんなパスワードは覚えられないので、1Passwordなどのパスワード管理ツールを使うわけだ。

このiDictはGitHub上で公開されている。 だからGitHubが悪いものだと勘違いしたのではないだろうか。 GitHub自体はエンジニアのコミュニケーションを円滑にする欠かせないサービスだ。

「GitHub、Appleアカウント、芸能人の写真流出」というのが繋がった。 ちなみに今はiDictによるセキュリティホールはAppleが対応済みだ。

知ったかぶり

確かにあり得る話かもしれないが、疑問なのはASKAがPCに詳し過ぎることだ。

コンソールを覗いたら、何者かがパソコンに侵入した過程も確認できた

ググればできるんだろうけど、素人でこんなことできるんだろうか? ログが残るんだろうけど、どこで見るんだろ・・・ASKAの方がエンジニアとして僕よりも優秀だ。(・。・;

でも普通の感覚で考えると、音楽一筋だと思ってた人がPCのスキルもあるとは到底思えない。 そこが多くの人の疑問だろう。 なんか勘違いしてるだけじゃないの・・・と。

ASKAの世代を考えれば、あれだけの言葉が出て来るだけでも凄いくらいだ。 でも、本当にそれを理解して発言しているのかが疑わしい。

ネットにはありとあらゆる誤った情報がある。 「こんなことが起こっているんじゃないか」と思い込みを持って検索すれば、どこかにはそれに該当するページが出てくる。

理解していないことを知ったかぶって発言するから、皆信じてくれないのでは? やっぱり世間に対しては肩書きは重要だ。 仮にASKAがPCにめちゃくちゃ詳しくても、世間から見れば音楽家だ。 エンジニアという肩書の人が「ASKAさんは確かにハッキングされている」と言えば、世間も納得する。 本当に証明したいのなら技術の専門的な話はエンジニアの口から伝えるべきだ。